胃がんについて
胃がんとは、胃の粘膜の細胞ががん化し、増殖することで発生する疾患です。がん細胞は、はじめは胃の粘膜内に発生し、徐々に胃の粘膜から深い層へと広がっていきます。がんが広がり、胃の外側を覆う漿膜に到達すると、胃を超えて他の臓器へと影響が広がっていきます。また、がん細胞が胃の壁の深い層まで広がると、がん細胞がリンパや血液の流れに乗って他の臓器へと移ること(転移)があります。
胃がんの初期症状
初期の胃がんは自覚症状があまりありませんが、進行すると、胃痛や食欲不振、体重減少などの症状を引き起こします。胃がんの症状は、胃潰瘍の症状と似ているため、胃がんの診断のためには、病理検査が必要になります。胃がんは早期発見・早期治療が重要であるため、疑わしい症状がある場合や、ピロリ菌に感染したことがある方は早めに胃カメラ検査を受けるようにしましょう。
- 胃の違和感や不快感
- 胃やみぞおち周辺の痛み
- 胸焼け
- 吐き気
- 食欲不振
- 体重減少
- 黒色便
など
胃がんに
なりやすい人の特徴
胃がんになりやすい年齢・性別
胃がんは45歳を過ぎたあたりから増えていきます。特に、腺がんタイプの胃がんはピロリ菌感染が影響していると考えられ、幼少期にピロリ菌に感染し、長期的に胃の粘膜に炎症が続いていた方が45歳頃になって胃がんを発症することが多いと考えられています。なお、胃がんは男性の発症が多く、発症数は男女比で2:1となっています。また、20代でもスキルス胃がんと呼ばれる胃がんを発症することがあります。スキルス胃がんの発症数は男女比で2:3と女性に多く発症するという特徴があります。
胃がんと家族歴
胃がんは家族歴の影響が大きいがんで、家族に胃がんになった方がいる場合は、いない場合と比べて男性で1.6倍、女性で2.4倍胃がんの発症率が高くなるとされています。しかし、胃がんの発症はピロリ菌感染や食生活による影響が大きいため、必ずしも遺伝によって胃がんを発症するとは限りません。
胃がんの主な原因と
リスクファクター
ピロリ菌感染
腺がんタイプの胃がんは、ほぼすべての場合で、ピロリ菌感染が原因となって発症していると考えられています。しかし、ピロリ菌感染者はすべて胃がんを発症するというわけではありません。
塩分の摂りすぎ
過剰な塩分摂取は胃がんの原因となると考えられています。動物実験では、過剰な塩分は胃の粘膜に炎症を起こすということが確認されています。
タバコ
喫煙は、胃がんの発症リスクを高めることがわかっています。
スキルス胃がん
スキルス胃がんの発症原因ははっきりとはわかっていませんが、CDH1遺伝子に異常が関係していると考えられています。
大腸がんについて
大腸がんとは、大腸(直腸・結腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では、最も発症数が多いがんで、死亡率も2番目に高くなっています。大腸がんは、S字結腸と直腸に発生するものが多く、大腸ポリープががん化して発生する場合もあれば、直接粘膜から発生する場合もあります。大腸がんは、早期発見と早期治療によって治すことができます。
大腸がんの初期症状
初期の大腸がんは自覚症状がほとんどありません。以下のような症状がある場合は、早めに大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 残便感
- 便秘と下痢を繰り返す
- 便が細くなった
- 便に粘液や血が混じったりする
- 便が黒っぽい
- 貧血症状が続いている
など
大腸がんに
なりやすい人の特徴
大腸がんになりやすい年齢・性別
大腸がんの発生数は40代から増加し、高齢になればなるほど発症率が上がります(60代後半で40代前半の発症率の10倍)。また、大腸がんは男性にやや発症が多く、男女比で4:3となっています。大腸がんは一生涯に男性で10人に1人、女性で13人に1人が罹患するとされており、がんの中では生涯発症率が極めて高い疾患です。
大腸がんの主な原因と
リスクファクター
飲酒
飲酒は大腸がんの発症に関係していると考えられています。アルコールやアルコールの代謝物であるアセトアルデヒドは葉酸の働きを阻害し、大腸がんの発症リスクを上げるとされています。
肥満
肥満は結腸がんの発生リスクを高めるとされています。なお、肥満と直腸がんの発生には関係が認められていません。
運動不足
運動には肥満の予防効果や免疫の調整効果など、大腸がんの予防効果があるため、運動が不足すると反対に大腸がんのリスクが高まると考えられます。
喫煙
喫煙は大腸がんの発症リスクを増加させると考えられています。喫煙は特に直腸がんとの関係性が高いとされており、さらに、大腸がんへと発達する大腸ポリープ(大腸腺腫)の発生も喫煙と強く関係していることがわかっています。
赤肉と加工肉の摂取
赤肉や加工肉の摂取は大腸がんの発症リスクを高めると考えられています。肉を高温で調理するときに発生するヘテロサイクリックアミンには発がん性があり、赤肉や加工肉はこの物質を多く含むことが発症リスクを高める原因となっていると考えられています。